多忙な毎日を過ごす大人たちに贈る ほっとする、日常系ピクチャーノベル。

「OJIトキ!」とは…

事件・ミステリー・不倫…
小説らしきネタは何もなく、何も起こらない!
でも、なぜか心が温かくなる、
日常が奏でるうれし・はずかし・おもはゆし。
心あたたまるストーリーの「ピクチャーノベル」です。
「ピクチャーノベル」とは

貴さんは、10年ぶりの家族旅行が縁で知り合った、旅行会社の若い女性社員・理沙に淡い想いを抱き、困惑する。旧友たちの助けを借りて、手作りのプレゼントを手渡すが…。平凡なオジさんに小さなキラメキが舞い降りた時、心は青春時代に!

多忙な毎日を過ごす大人に贈るとする、OJIトキ!ブログ

日々の出来事、感じたことなどを「OJIトキ!」的に綴っていきます。

2021.08.24

朝食

ある日TVで、神戸にあるホテルの「世界一!の朝食」を紹介していました。
5種類ものジュース、濃厚な黄身の卵料理に分厚いハムに熟成生ハム。
籠一杯の焼きたてパン、季節限定のハチミツにジャム、ヨーグルト・・・
とても朝から完食できそうに思えませんが、とにかく豪華(お値段も!)

そして、これを食すゲスト二人のリアクションがまた凄い。
単に「美味しい」ではなく、「ウ~ン、ウワ~ッ」とのけぞり悶絶し、
その美味しさを訴えかける。料理、ゲスト共にお見事でした。

さて、こういう番組を見ると、ついついちょっとまねごとをしたくなります。
さっそく次の土曜日、近くのいつも行くスーパーに買い出しへ。
あんな食材はないと知りつつも、胃袋と懐具合を考えながら
メニューをイメージして食材を買い物かごへ放り込む。
よく見ると、まあ似た感じの物がなきにしもあらずでして。

そして日曜日、朝早くから台所でどたばた。
多少散らかることはご容赦を。
市販の野菜ジュースに果汁を混ぜて2種類のミニジュース。
切り落としの生ハムと味の濃いハムを盛り合わせ、ミニトマトを添える。
卵料理はチーズオムレツに粒入りトマトケチャップで色合いを。
パンはトーストとクロワッサンをハーフサイズで。
コーヒーも、いつものインスタントに替えて豆を挽いて、完成。

「どうだ、ちょっとしたもんだろ」
一緒に食べた長男夫婦に、ついつい同意を求めてしまう。
世界一にはほど遠いですが、コーヒーや卵料理の香りに、笑い声も添えられ、
我が家の朝食も中々良し♪

 

先日やっとワクチンの第一回接種に行ってきました。
打った直後はなんともなかったのですが、夜になると腕が少し腫れてて痛い痛い。
反応があるのはまだ若い証拠と諦めていると1日で回復し、やれやれ。
まあ、飲み歩きもできないし、まあ「OJIトキ!」でも♪

https://www.amazon.co.jp/dp/4864875014/
電子書籍版も各種販売店にて好評発売中
公式サイト:http://www.ojitoki.com/
アーティストによるテーマ曲、ゲストの特別なトキを語るエッセイなどを無料公開中!
YouTube公式チャンネルはこちら
https://www.youtube.com/channel/UC_T1cImwVexXl5-sXDB6DKw

 

OJIトキ!の世界を彩る繊細で華やかなイラスト
ピクチャーノベルの最大の魅力は、やはりイラストです。
一般書籍と電子書籍、各々全く異なるタッチでOJIトキ!の世界を表現している二人のイラストレーターさんをご紹介します。

今回、イラストのご依頼をいただいて文章を読んでいるうちに、主人公の男性が自分と重なりました。もしかして実際にあったのか、夢の中だったのか、単なる妄想であったか? 過去や近年の自分のドキドキやワクワク、カメラのファインダーを通じて見て来た風景、行ったことのない遠い国の景色や見たこともない憧れの女性を描いたスケッチ等、それらが混じり合って頭の中でぐるぐると回り出しました。
そんな私のHDや自分の頭の片隅に保存してあった素材をもとに描いてみました。

Profile
写真家・イラストレーター。
京都市生まれ、滋賀市在住。
写真と水彩画がメインですが、近年は写真、イラスト、ペーパークラフト、3D-CGを素材としたデジタル合成もしています。

物語の挿画を描くときは、鍵となる場所や要素を使って自由に視覚化していますが、今回のイラストはすべて、作者から「こうしたい」という希望を戴いてスタートしました。
これらの注文を、中年の人生の甘酸っぱいエピソードの邪魔をせず、かつ、味わい深くするのにどう料理しようかと考える場面が多かったです。
そんな時間を通し、やがて主人公が未来の自分であるかのように感じ、今では物語と融け合って見事な作品に仕上がったと自負しています。

Profile
イラストレーター。
静岡県静岡市生まれ、東京在住。
水彩や染め物調のイラストをフルデジタルの手法で鮮やかに再現したイラストを得意としています。
日常を、非日常に奏でる OJI!な楽曲たち
物語と絵があるなら歌も♪♪
個性豊かな歌手の皆さんが、OJIトキ!のテーマ曲を歌い上げ、
ちょっとした日常の風景を美しく彩っていきます。
Image Song

by my side

by my side
 歌 :花あきこ
原 曲:ゆら



Image Song

クランクアップ

Crank Up
  歌  :桑村拓朗
作詞・作曲:残響P



Image Song

ときめき(Vo.ABIS)

Tokimeki
 歌 :ABIS(abis)
作 詞:有賀順平、mauゆう
作 曲:mauゆう
編 曲:mikohime
監 修:福田 征希
Image Song

ギフト

Gift
作詞・作曲・歌:林 祐詩




Image Song

タンポポ

Tokimeki
作   詞:有賀順平
作   曲:mauゆう
  歌  :桑村拓朗

Image Song

クレーマー!! ~佐藤君の叫び~

Claimer!! 縲彜ato kun no sakebi縲鰀
作   詞:有賀順平、矢野 晴人
作曲・編集:田口達也
  歌  :Non Stop Rabbit

Image Song

ときめき(Vo.かみもと千春)

Tokimeki
作   詞:有賀順平、mauゆう
作   曲:mauゆう
編   曲:mikohime
  歌  :かみもと千春
Image Song

散歩道の奇跡

Sanpomichi no kiseki
作   詞:有賀順平
作 曲・歌:林 祐詩


Image Song

雪解け、そして春

Yukidoke soshite haru
作詞・作曲・編曲:まちまち
    歌   :金子 忍


Image Song

君の歌

Your Song
作詞・作曲・編曲:まちまち
    歌   :Non Stop Rabbit
         矢野晴人(Vocal)
         田口達也(Mix)
Image Song

ときめき(Vo.橋本大翔)

TOKIMEKI
作   詞:有賀順平、mauゆう
作   曲:mauゆう
編   曲:mikohime
  歌  :橋本大翔
Image Song

ときめき(Vo.花あきこ)

TOKIMEKI
作   詞:有賀順平、mauゆう
作   曲:mauゆう
編   曲:mikohime
  歌  :花あきこ
Image Song

Bond
作   詞:有賀順平
作曲・編曲:宮野一彦
  歌  :宮野一彦
●歌い手Profile
桑村拓朗 ●Profile
シンガーとして結婚式場、ホテル等の業務を行なう他、声域の広さと多彩な声質を活かし、全国でCM・アニメ、ゲームのCD・企業のテーマソング、カラオケ機器のデモボーカル、メジャーアーティスト仮歌などに参加。YouTubeで最も有名なR&Bグループの「AHMIR」と楽曲を共作。北陸を中心にイベント出演やライヴを行なう男性アカペラグループ「Liaison」所属。ボディビルで鍛えた身体を活かし、CM出演、絵画モデルなどもしている。
【クランクアップ】
書籍「OJIトキ!」の中で僕が特に好きな胸キュンになる場面を、明るく少し切なく表現した楽曲「クランクアップ」を歌わせていただきました。
「タンポポ」に引き続き、歌うことができてとても嬉しいです。主人公の貴さんになったつもりで歌いました。
またひとつ、「OJIトキ!」への思い入れが大きくなりました。

【タンポポ】
「OJIトキ!」の書籍は、場末の老舗の温泉旅館で風呂上りに読んでいました。旅館のノスタルジックな雰囲気も相まって、物語の世界観に一気に引き込まれ、思わずホロっとした場面もあります。日常の中の非日常、ウンウンと頷いたり、ホっとしたり、他の小説とは一味違った気分に浸れる素敵な作品でした。
今回、ヴォーカルとして参加させて頂き、「OJIトキ!」に対する思い入れは更に強くなりました。書籍はずっと大切に持っていたいと思います。
林 祐詩 ●Profile
岐阜県出身のシンガーソングライター。 切なく温かく、どこか懐かしさを感じさせる楽曲、情景が浮かび上がる歌詞、やさしく透明感のある声が魅力。これまでに3枚のミニアルバムを全国リリース。現在は、ツインボーカルユニット「森と林」でギターボーカルと作詞作曲を担当し、精力的に活動中。
【ギフト】
今回は作者の有賀様にご提案いただき、一からオリジナルソングを作らせていただきました。
物語の主人公目線で、想いを寄せる女性にCDを渡すときの気持ちにフォーカスしました。決して打算的でなく、純粋に自分の想いを込めた贈り物を渡す主人公に、「人を想う」ということがどういったことなのか教えてもらったような気がします。
そこに滲み出る「切なさ」と、物語全体の「温かさ」の両面をギター弾き語りで表現した曲です。

【散歩道の奇跡】
もともと本、特に小説が好きで、今回のお話をいただいたときは大変嬉しく思いました。 作者の方が書いた詞に曲をつけるということでできるだけ詞のイメージに寄り添えるような曲にしたいと思い、常に本を持ち歩き、時に本を開きながら作曲にのぞみました。笑
ストーリーの一部分を切り取ったかのような歌詞なので、その情景をギターひとつと歌というシンプルな編成で、最大限に表現できるよう作らせていただきました。貴重な経験をさせていただきありがとうございます。
Non Stop Rabbit ●Profile
都内を中心に2016年11月より始動する"平成のゆとりROCKバンド"
【クレーマー!! ~佐藤君の叫び~】
今回お話を頂いた段階で楽曲をどんなものに仕上げるかをメンバー間で話し合った時、「聴いているだけでパワーが与えられる曲」という意見が真っ先に出てきました。
それに伴い、歌詞はストレートに、サビではシンガロングを使い、湧き上がる感情を表現しました。
レコーディング、MIXでも生音の力強さを意識して進めていきました。葛藤の中で日々働き、戦う方々に力を与えられる楽曲に仕上がったと思っております。
かみもと千春 ●Profile
宮崎県生まれ。女優・歌手・作詞・作曲家。劇団こふく劇場所属。「チャルネイロ」名義でサポートメンバーとともにライブなど多数おこなう。演劇作品や他アーティストなどへの楽曲提供もしている。また、ボイストレーナーとして表現者のサポートにもあたる。
【ときめき】
人と人との縁もありますが、この作品に関われていることの「縁」を感じます。立場だけではくくれない、名づけられない、けれど大切な人たちが周りにはいて、、、
この本と出会ってから、何と呼べばよいのか分からない気持ちを味わうことが日常の中で増えてきました。
「ときめき」という言葉を普段自分で語ることはないのですが、歌を通して何度も口にすることで私自身の中に新しい色が一つ加わったような心持ちです。
この本が、この歌が、これからどんな人たちと出会っていくのか。
旅のはじまりを一緒に過ごせたことが、とても嬉しいです。
ありがとうございます。
金子 忍 ●Profile
作曲家。主に演劇のための音楽、子どものための歌、合唱曲・歌曲などを中心に、詞のことばに内在する「ことだまのしらべ」を紡ぎだす作曲活動と歌唱指導等を行なう。「吉田水子企画」のメンバーとして、オリジナル曲や日本の美しい調べを歌うコンサート活動も行なっている。
【雪解け、そして春】
この曲は、本の主人公・貴さんから手作りCDを受け取った女性・北山さんの想いが綴られています。私は貴さんと同世代の男性ですが、北山さんの想いと人柄について精一杯イメージを膨らませ、気持ちを想像して歌わせていただきました。女心をどこまで表現できたでしょうか。とても美しい曲を歌わせていただく貴重な機会を与えてくださり、大変うれしく思っています。
橋本大翔 ●Profile
シンガーソングライター。2010年、ソロ1stシングル「桜梅桃李」をリリース。福島県いわきのローカルヒーロー「郷土戦士ジャンガラー」の主題歌「地球(ほし)の戦士ジャンガラー」などを歌う。2013年、「心の扉」でメジャーデビュー。
【ときめき】
いつも歌うロックテイストとは違い、書籍のイメージを崩さないように雰囲気を第一に歌わせていただきました。僕はまだまだおじさんではありませんが(笑)たくさんの方にこちらの書籍を手にとっていただけたら幸いです。レコーディング…楽しかったです。『ときめき』ました。
花あきこ ●Profile
ボーカリスト・日英翻訳家。愛知県半田市生まれ、アメリカ在住。
聞いた人の心に残るような歌、読んだ人の心に残るような文章をお届けしたいと思っています。
【ときめき】
なんだか、恥ずかしいような、暖かい気持ちになるような本にあわせて、しっとりと歌わせて頂きました。
めぐり逢えた奇跡、まぶしい空。遠い故郷の空、日本の優しい空をおもいだし、そこでの素敵な出会いを想像しての音楽作品作り、とっても楽しかったです。
宮野一彦 ●Profile
音楽制作を生業としている、歌唄いのギタリスト。CD「すばらしい日々」発売中。
【絆】
「絆」は、著者が作詞したため、今までの自分の曲とは違う感覚で歌うことができました。
「アコースティックギターの弾き語りで歌う感じで」という以外は比較的自由に作らせてもらったことも、「絆」の世界観につながったと思います。
楽しい機会を与えていただき、ありがとうございました。
私のトキめいた時、ホッとした瞬間。ゲストが語るMyトキ!
様々な分野のゲストに、ホッとした瞬間、胸ときめいた経験など、ちょっと特別なトキを語っていただきます。
ヘエッと驚いたり、ウンウンと頷いたりしてお読みいただければと。

Guest

橋本大翔 Tyshoo Hashimoto

●Profile
埼玉県坂戸市生まれ。
歌手・ボーカリスト。元陸上自衛官。
2013年、2ndシングル『心の扉』でwebkooレーベル/EMIミュージック・ジャパンよりメジャーデビュー。
福島いわきのヒーロー郷土戦士ジャンガラーの主題歌『地球の戦士ジャンガラー』のヴォーカルを担当。
また、オンラインゲーム『キャラフレ』にて2.5次元アーティストしても活動中。
橋本大翔公式 WEB SITE
Twitter

人と人の出会い

40歳を前にして振り返りると、本当にたくさんの出会いがあったと感じます。
私は元々バンドのヴォーカルとしてキャリアを積み、デビューを志していました。
そのバンド解散と同時期にマイクを置き、音楽活動を辞めました。
その後、4〜5年ほどサラリーマン生活の日々を送っていましたが、
何か不完全燃焼のような悶々とした気持ちが心の中を渦巻いていたことを、今でも憶えています。

そんな生活を送っていた27歳の時、私の進む道を左右する出会いがありました。
それは、子育てと舞台女優を両立してる人や同い年でプロドラマーを目指して奮闘している人、
70歳を前にしてVシネマ俳優を目指しているKさんでした。
置かれている立場や環境、年齢など関係なく、みんな眼が輝いていて生き生きとしていて、
私がバンド活動をしていたことなど、とても恥ずかしくて言えませんでした。

その後「どうして歌を辞めたんだろう?」と自問自答しましたが……特に理由はでてきませんでした(笑)

Kさんと、小料理屋でちょうどその話をしていた時、お店のマスターが会話に入ってきました(笑)
マスターも、当時の私の年齢(27歳)の時に脱サラして飲食店を始めたそうです。
マスターも他の人たちと同様、生き生きと熱く語ってくれました。
希望を持って夢を目指している人は、本当に生き生きとしていますし、話す言葉が胸に刺さります。

人と人の出会い『縁』は大切だとよく言われますが、私はまさしくこの縁によって、
もう一度音楽や歌に打ち込めるきっかけを作っていただきました。
そしてこの出会いから5年後、ソロでメジャーデビューすることができたのです。

これからもたくさんの出会いがあることと思います。
私も誰かの、何かのきっかけを作れたら幸いですし、聴いてくれた方の心に響く歌を届けていけたらと想います。

Guest

かみもと千春 Chiharu Kammimoto

●Profile
宮崎県生まれ。女優・歌手・作詞・作曲家。劇団こふく劇場所属。「チャルネイロ」名義でサポートメンバーとともにライブなど多数おこなう。演劇作品や他アーティストなどへの楽曲提供もしている。また、ボイストレーナーとして表現者のサポートにもあたる。
かみもと千春 Official WebSite

ある日の夢のおはなし

私はよく夢を見ます。
ほとんどの夢はすぐに忘れますが、たまに、書きとめておきたくなるほどの夢を見ることがあります。
これは数年前見た、今も忘れられない特別な夢ーー。

私は90歳を過ぎた男性でした。
ある日、引き出しの奥から1通の手紙を見つけます。ずいぶんと古いその手紙にはこんなことが書かれていました。
「お世辞だと分かっていても、あなたが褒めてくださったことがとても嬉しかったのです」
とたんに、遠い記憶の中に一人の女性の姿が現れました。
白い帽子がとても似合う女性でした。
いけない!と思いながらも頭の中でその姿がみるみるくっきりとしていきます。

思い出してはいけない感情で胸がいっぱいになりました。
あのとき打ち明けられなかった思いなのか、なんだかもう苦しくて苦しくて。
初恋と失恋を100年分味わったような気持ちで目が覚めました。

そんな、ある日の、夢の中のお話。

現実の世界でも、恋なのかなんなのか分からない感情を味わうことはあります。
この本との出会いが、そんな感情の存在をそっと認めてくれました。

Guest

澤田明理 Meiri Sawada

●Profile
制作プロダクション 番組プロデューサー。
全く興味のなかったテレビの業界に大学入学式の翌日から入り込み、はや45年。もう同期は早々と引退されるなかで、業界にしがみつき、業界の生き字引としてなんとか生存している。
これだけ長いと、かかわった番組は数知れず。
今は、人の為、世の為に少しでも役に立つ仕事がしたいと思い、様々なプロジェクトに足を突っ込み中(笑)
絶滅動物園プロジェクト 公式サイト
絶滅動物園プロジェクト Facebookページ

祝!45周年。

大学へ初めて登校した日、校門で中学時代の部活の先輩に出会った。
「おい、部活は決まってるのか?」
「いいえ、まだです」
「そっか、じゃあ俺の所属してる部に入れ」
そして翌日から、私はその部室に通うことになった。
倶楽部の名前は「CBCアルバイターズ」。
テレビ番組のAD、コンサートや試写会の警備、楽器運搬、チケットもぎり、中日クラウンズのバイト集めの元締めなど、CBCのありとあらゆるバイトの仕切りを任されていた。
部室はCBCの地下にあり、内線表に「アルバイト室」と記載されていた。
ちゃんと部長もおり、1年から4年まで先輩後輩のけじめはちゃんとあり、先輩の指示により、朝から夜まで大学にも行かずにCBCでアルバイトに明け暮れる毎日を過ごした。

年末には、卒業したOBをお招きしての忘年会があった。
1年生は学生服を着て、店の入り口で先輩方々を会場へご案内した。
体育会風の硬派な文化系部活とでも言おうか。
学生の身分なので、もちろん授業には最低限出席しなければならない。でも仕事は忙しい。
一刻も早く授業から戻って仕事をしなければならない。
その当時はテレビの絶頂期! バブリーな時代。
学生バイトは皆、タクチケを支給され、それでCBCから大学へ。
そして大学からCBCへとタクシーで戻った。
なんというバイトだ。

テレビには全く興味のなかった私が、この業界に入って来年ですでに45年。
あの日、先輩に出会わなければ、今頃、どこかの地場の銀行とか、豊田系の自動車部品メーカーの窓際管理職で定年を待っていただろう。
ほんと、出会いとは不思議なもんだ。

Guest

松本国昭 Kuniaki Matsumoto

●Profile
スマートファーム代表 松本国昭
現在クレソン栽培販売農家。
元メ〜テレ番組プロデューサー(取締役)。
主に制作畑を歩み、子どもショーから、お笑い番組、ドキュメンタリー、ドラマと幅広い番組制作を経験。
代表作は名古屋の夜の街の出会いをショーアップした「オジャマンないと!」、ユーラシア大陸の安宿バス横断のルポルタージュをドラマ化した「深夜特急」三部作。
岡本太郎の幻の壁画「明日の神話」をメキシコで36年ぶりに発見、番組化。
Smartfarm(スマートファーム)公式サイト
http://shop.smart-farm.jp/
Facebook
http://www.facebook.com/gifucresson
クレソンの日々

農園にユンボが走り回り、ショベルカーが堆肥をかきまぜる音がけたたましい。

カラスの群れに向け爆竹の音が時折鳴り響く。三重県いなべ市、鈴鹿山系の麓の平野部にその農園、いなべKyファームはある。私は、電車を乗り継ぎ約2時間かけて通っている。テレビ局を退職して4年、まさかこんな農的な生活をするとは……

退職前、「半農半メディア的な仕事ができたら」と軽い気持ちで、友人達と飛騨の山間部で栽培を始めたのがクレソンだった。広葉樹林からの水が豊富に流れ込む田んぼでは、素晴らしいクレソンが育った。ところが夏のある日、田は荒らされ葉は消えていた。鹿の仕業だった。以降、我々の想いを打ち砕く事件の数々。鹿の次は、葉に穴をあけるカブラハバチの幼虫。仕方なく平野部に移ると、田はたちまち雑草に覆われ、異常発生したジャンボタニシや冬飛来する鴨に食い荒らされた。外敵もクレソンの美味しさが分かっている!

出荷用のクレソンが確保できなくなると、友人達は離散していった。一人残された私が頼って居候させてもらったのが、K.Y.こと吉田和雄さんのKyファームだ。吉田さんは、元エクステリア会社の社長で、「農業を嫌いだ」と言ってはばからない。田に足を入れるのが嫌い、草刈りが大嫌い、ヘビや虫も大の苦手。そんな人が広大な原野を相手に農業を始めた。野菜くずを堆肥化し、堆肥だけで野菜を作る循環農業だった。土を使わないため、鍬や鋤といった古来の農器具類は見当らない。

私は、そんな吉田さんの考えに賛同し、クレソン栽培の共同研究をお願いした。すると土木機械の達人は、ショベルカー等を駆使して元原野を掘り起し、幅2m長さ60mの川をあれよあれよという間に6本も作りあげた。鈴鹿山系からの地下水をポンプで循環させる水流方式だった。環境のバロメーターにメダカを放ち、養老の石灰石をあしらった川は、クレソンのグリーンベルトに覆われ、メダカが群れ泳ぐ水流庭園となった。

毎日、朝9時から夕方5時すぎまで栽培生活に明け暮れる。日々大きく変化する農園は、スリリングでドラマティックだ。在局時代制作していたドラマ以上といってよい。夕刻、農園で摘んだクレソンを3、4つの大きな袋で電車に積込み、今日も何軒かに配達する。昔、近鉄電車には、魚を入れた大きな籠を担ぐおばちゃんがいた。私は、今やクレソン担ぎのおじちゃんだろう。

「半農半メディア」から、思えば遠くへ来たものだ。

Guest

花あきこ Akiko Hana

●Profile
ボーカリスト・日英翻訳家。
愛知県半田市生まれ、アメリカ在住。
※OJIトキ!イメージ曲「ときめき」を歌っていただいたシンガーです。
Twitter:https://twitter.com/hanaakiko
あの時の自分、今の自分。

淡い恋心を抱いた、高校のときの美術の先生。
大人になった私が今、もう一度ばったり偶然の再会ができたら嬉しいな、と思う人です。
あの頃、好きだったんだよ、と昔話のように告白できたら、あの時の『片想いで先生恋しさに泣いていた自分』が笑ってくれるような気がします。
反対に、あの時泣いたから、今大好きな人とこんなに幸せに暮らすことができているのだなとも思います。
いろんな出会いがあって、いろんなタイミングが重なって、今の自分へ繋がっている。
大切な家族がいて、仲間がいて、たまにドキドキするような楽しいことがある。
この本を読んで、自分の周りの人たちをもっと大切にしたくなりました。

……そして、『淡くせつない恋』を、もう一度だけ、したくなりました。

Guest

安藤尚範 Hisanori Ando

●Profile
アイズボーカルスクール代表役・ボイスカウンセラー取締
1998年から東京・名古屋でボイストレーナーとして活躍。2000年に独立し、名古屋でアイズボーカルスクールを創業。歌や声を良くする為には、単に「体」だけではなく「心」も必要不可欠だと感じ、カウンセラーやNLP、TA、個性心理学、ダイエットアドバサーなど様々な資格を取得。2005年に、しっかり声の出せる発声練習器『ビューティーボイストレーナー』を開発。約9万個を販売する大ヒット商品となっている。愛知北FMラジオで、3年間パーソナリティーを務める。2008年に著書「得する声 損する声」出版、アマゾン3部門で1位を獲得。
アイズボーカルスクール公式サイト
(新規配信のご登録もこちらから)
PC:http://www.ays-music.net/
携帯:http://www.ays-vocal.net/mobilehp/
私のうれしい瞬間

私は、名古屋の金山で音楽教室を経営しています。私の教室には、インストラクターコースという、ボイストレーナーを養成するコースがあります。この受講生の中で、私が一番「本当にボイストレーナーになってよかったなぁ」と思う人がいます。それは、G先生です。
彼は、とってもやる気のある私の生徒で、4年ほど歌のレッスンを続けながらプロの歌手を目指していました。なかなか芽が出ませんでしたが、仕事もやめて音楽に打ち込むという努力の結果、あるプロダクションから声をかけてもらうところまでいきました。しかし厳しい世界、実際にプロとして世に出ることはありませんでした。彼なりに本気で取り組んだものの、年を重ね、現実を見るうちに、不安に駆られるようになり、そのうち私達とも連絡を取らなくなってしまいました。

数年後、たまたまうちのスタッフが彼と電車で再会し、「安藤先生が会いたがっていたよ」と伝えてくれました。ちょうど「G君どうしてるかなぁ」と話をしていた時だったので、本当に偶然の出来事でした。G君は「連絡を取っていなかったし、音楽もやめてしまったので気まずいな」と思ったそうですが、私がずっと気にかけていたことが嬉しかったようで、しばらくして会いに来てくれました。それは突然であり、感動の再会でした。私は「是非うちでトレーナーとして頑張ってみないか?」と声をかけました。彼は、この先どうしようかと悩んでおり、再び音楽に触れて生活していきたいと思い始めていた時期であったため、「インストラクターコースに入って学びたい」と言ってくれました。それからは水を得た魚のようにグングン成長し、トレーナーの道を進んでいきました。今では、私の右腕として活躍し、自信をもって生徒と向き合ってくれています。

音楽は、「音を楽しむ」と書きます。しかし、時に「音が苦」になることがあります。その両方を経験した人は、音楽を楽しみたい方だけでなく、苦しんでいる方のサポートまでできるのだと感じます。私は、彼が生徒さんと笑顔で接している姿を見るたびに、そんなことを思い、心が嬉しくなります。これからも音楽を通して、彼や他のスタッフと様々な方のサポートをしていけたら幸せです。

Guest

上田定行 Sadayuki Ueda

●Profile
東京での演劇活動(劇団『転位21』)などを経て、ラジオパーソナリティー(FM愛知・東海ラジオなど)を皮切りに名古屋でタレント活動を開始。劇団『少年ボーイズ』の中心メンバーとして、数々の舞台にも出演してきた。現在も、フリーの俳優としてプロデュース公演などの舞台に立ち続ける。また、テレビ番組のナレーターとしても多くの番組に携わり、朗読やリーディングといった『声』を使った表現の可能性も追求する。
舞台に『犯罪家族』(名古屋市民芸術祭審査員特別賞)、『プリズンキッチン』(芝居と舞台を融合した1週間公演)、『テミスの剣』『ジュリアス・シーザー』(リーディング)、『ブルーストッキングの女たち』『群青~雲流れる果てに』『私は貝になりたい』。メ~テレ『UP!』『ウドちゃんの旅してゴメン』ナレーション出演。CBC『やすだの歩き方』法律劇場出演。
小さな帽子

落し物や忘れ物が簡単に見つかることはまずない。
だが、時々信じられないことがあるから嬉しくなる。
若かりし頃、夢を抱き上京する数日前、アルバイトで貯めた引っ越し資金が入った財布を公衆電話ボックスに忘れた。
その時、私と同じ年頃の息子を持つお母さんが警察に届けてくれた。
「私の息子も、この間、財布を公衆電話に忘れて見つからなかったから…」
とその人は笑った。

ランニングの途中で落としたお気に入りのキャップ用の日よけカバー。
2週間後に走っていて見つけた時は、堪らなくなった。
街路樹に結びつけてあったのだ。誰かがこれをここに結んでくれたのだ。
見ず知らずの私のことを想像しながら、見返りも求めずに…
誰かと繋がったようで、何とも言えない幸せな気持ちになった。

そして、数週間前のこと。
近所を歩いていたら、子ども用の真新しいキャップが落ちていた。
風の強い日で、今にも車道へ飛ばされて車に踏まれそうだった。
私は、迷わずその帽子を拾った。
後ろにプラスチックの留め具が付いている鮮やかなブルーの帽子は、
多分男の子のものだろう。
きっとお母さんの自転車に乗っていて落としたのだろう。
お母さんの後ろで寝ていたのかな? なんて勝手に想像した。
お母さんがすぐに気づいて取りに来るだろうと考えて、
近くの電信柱に設置してあった工事中の看板に括りつけた。
ちょうど自転車のお母さんの目線と同じ高さだ。
ちゃんと気づいてくれるかな…

翌日は雨。帽子が気になった。
その次の日、私は確認しに行った。
帽子はなくなっていた。ちょっと嬉しかった。

小さな善意は届けられたのかな?
知らない誰かと繋がった…気がした。

私のトキめいた時、ホッとした瞬間。ゲストが語るMyトキ!
OJIトキ!を描いた詩や文章をゲストに朗読してもらいます。
目を閉じて物語のイメージを描いてみてください。
To Recite

雪解け、そして春

作品名:雪解け、そして春
作 者:まちまち
朗 読:でこ

●でこ Profile
写真家・イラストレーター。
京都市生まれ、滋賀市在住。
写真と水彩画がメインですが、近年は写真、イラスト、ペーパークラフト、3D-CGを素材としたデジタル合成もしています。

【OJIトキ! 想い空のかなたへ】
通常書籍版

●著者:有賀順平
●イラスト:作野周史
●292ページ
●2016年8月 初版発行
●定価:1,500円(税別)

【OJIトキ! 想い空のかなたへ】
電子書籍版

●著者:有賀順平
●イラスト:柴山ヒデアキ
●292ページ
●2016年8月 初版発行
●定価:1,200円(税別)

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